LIBOR 廃止問題の影響も 金利スワップの特例処理
既存契約はどうなる?「LIBOR廃止問題」
30年以上にわたり国際的な金利指標として用いられてきたLIBOR(ライボー)。ロンドン市場における銀行間の取引レートのことです。デリバティブ取引、企業向けの貸出、債券の取引条件の中では、「6ヶ月円LIBOR+○%」などの形で「参照金利(変動金利のINDEX)」として利用されてきました。全世界でこのレートを参照している取引残高は370兆ドルを上回ると言われています。
LIBORは、不正操作事件を契機に、2021年以降の公表が停止される可能性が高まっています(2021年廃止問題)。後継金利指標の開発、既存契約への影響、システム変更など金融業界は難題に直面しています。
デリバティブ取引の原則は、時価評価
中小企業がデリバティブ取引を行うことはレアケースかもしれませんが、取引銀行から変動金利の借入金利息を固定金利に交換する「金利スワップ」を勧められ、契約している会社もあるでしょう。
デリバティブ取引は、会計でも、税務でも期末時価評価が原則。金利スワップも、期末に未決済の取引を決済したものとみなして、評価損益を計上します(決算では、金融機関から時価資料を入手します)。
金利スワップの特例処理とは?
ただし、一定の要件を充たす金利スワップについては、時価評価を行わず、金銭の受払いの純額を利息に加減して処理することがでます。
(金利スワップの特例処理の要件)
金利変動による損失額を減少させる目的(ヘッジ目的)の取引で、ヘッジ対象(例えば借入金)とヘッジ手段(金利スワップ)が次の要件を充たしていること
①元本の一致 借入残高金利とスワップの想定元本が概ね一致(5%以内)
②期間の一致 借入の完済日と金利スワップ取引の終了日が概ね一致
③INDEXの一致 LIBOR、TIBORなどの参照指標が概ね一致
④金利改定日の一致 借入金利と金利スワップの受取・支払期日が概ね一致
⑤受払条件の一定性 その取引が期間を通じて一定の金額、特定の指標を基準として計算されていること
税務では、取引日に、取引に関する一定事項を帳簿書類に記載することも要件です。