これからのテレワークと労務管理
コロナ禍のテレワークからわかったこと
テレワークは、これまでも働き方改革の観点などから推奨されてきましたが、思わぬコロナ禍により、多くの企業が準備を十分にできないまま実施していると思われます。厚生労働省は、この状況について調査結果等から検討した「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」を公表しました。
もともとテレワークの効用として、従業員のワークライフ・バランスの改善により、離職防止や人材確保につながることが言われていましたが、調査結果からもそれが確認されました。これは「従業員の通勤負担の軽減」が大きな要因と考えられます。従業員を対象にした調査でもメリットとしてあげられており、「時間の節約」とともに「心身の負担の軽減」につながっています。
テレワークをやってみたことで感じた良い変化、新たな気づきとしては、「管理職や経営層の間でテレワークの利用が進んだ、理解が深まった」が多く、次に「テレワークではできないと考えていた業務が、できることが分かった」となっています。
課題を明確にし、良質なテレワークを
一方で課題も多くあります。労務管理上の課題としては、①人事評価、②人材育成、③労働時間管理、などが主要な論点です。対応策として、①については評価や報酬制度の内容をより具体化すること、②はオンラインと対面を組み合わせることの有用性、③はフレックスタイム制や事業場外みなし労働時間制がなじみやすい、などの提言がなされています。
また、テレワーク相談センターの機能拡充も行われたので、活用していきましょう。(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15912.html)
報告書では、フランスの「つながらない権利」を取り上げています。メールをする時間帯を制限することなどにより、長時間労働防止につなげるものです。これまでの知見を活かし、より良質なテレワークの体制を作っていきましょう。