地籍調査の立会い
地籍調査とは
役所から地籍調査事業として、境界確認の事前立会いを求められることがあります。
地籍調査は、国土調査法に基づき、一筆ごとの土地について、所有者、地番、地目を調査し、境界と面積に関する測量を行い、その結果を地籍図、地籍簿に取りまとめるものです。法務局には公図があるので境界は明らかと思いたくもなりますが、明治時代の地租改正で作成された公図の土地面積は実際の面積と異なることが多くあります。
調査には時間がかかる
地籍調査は、道路や水路等の公有地と民有地の官民境界に加え、民有地と民有地の境界を調査し、地積を測量して、公図を更新することを目的としますが、これにはとても長い時間を要します。
一方、役所が道路を建設・拡幅しようとする、あるいは公共施設をつくろうとする場合、国の所有する土地と民有地との境界がわからなければ、事業の進捗が遅れるほか、地震や豪雨など災害により被害を受けた場合には、境界の確定しない土地の権利調整に多くの時間を要し、復興が長期間に及ぶなど、土地所有者には不利益が生じます。
街区境界調査を優先実施
そこで国は、令和2年から街区境界調査事業として、道路、水路等の公有地と民有地の官民の境界確認を先行して実施しています。公道と接する民有地の境界を確認する場合、役所が基点となる場所から測量を行い、土地所有者の認識する境界を双方立会いのもとで決めることになります。境界標の場所が分からなくなっていても、復元してもらえる場合もあります。
役所から申し出る調査の費用は国の負担
調査や測量に伴う費用は、国や地方公共団体が負担するので、土地所有者の負担は一切ありません。反対に、官民の境界が未確定のまま、将来、土地を売却するときは、隣地地権者の所有土地との境界測量に加え、公道との官民の境界確認を役所に依頼して自費で測量することになります。
つまり、街区境界調査事業に乗じて官民の境界確認を行うことで費用負担なく境界を確定でき、将来、自身の土地を売却する際にも、隣地地権者と境界を合意しやすくなるわけです。役所から境界確認の依頼が来たときは、必ず立会い、自身で保有する測量図があれば、積極的に行政に提出して確認を求めると良いのではないでしょうか。