日本国内の外国における 消費税免税と仕入税額控除
日本の米軍基地は国内なのか国外なのか
日本にある米軍基地は、日本国内の外国であって、治外法権の地とされています。
しかしながら、消費税法第2条第1項第1号は、「国内」を「この法律の施行地」と定義しており、日本の主権が及ぶ領土、領海及び領空が、日本の国内法である消費税法の施行地に含まれることは明らかであり、米軍基地が日本の領土内にあることを疑う余地はありません。そのため、米軍基地内での資産の譲渡等も、国内において事業者が行った資産の譲渡等として、消費税法により、消費税を課することとされています。
日米地位協定による消費税免税
一方で、現実的な取扱いでは、“日米地位協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律”により、米軍基地内での資産の譲渡等は、所定の要件を満たせば、免税とされています。これは、日米地位協定は条約であり、国内法である消費税法よりも優先適用されるためです。
免税なのに仕入税額控除は適用されません
所得税法等の臨時特例法の7条は(消費税法の特例)を定めています。同条1項で、「合衆国軍隊等の用に供するために購入するもの、個人契約者又は法人契約者がその締結した建設等契約に係る建設、維持又は運営のみの事業の用に供するために購入するもので合衆国軍隊の用に供されるもの等」は免税とされています。
ここで注意をしなければならないのは、日米地位協定で消費税免税とされているものは、輸出免税と同じではなく、非課税であり、課税売上割合の算定上も非課税扱いで、仕入税額控除が出来ない点にあります。
この辺の理論的な扱いは、国税不服審判所の裁決(平成26年5月8日、平成28年12月20日等)を参照してください。
米軍基地内の消費税は、「治外法権の外国だが国内取引だから原則課税」→「日米地位協定特例法で免税」→「消費税の計算に当たっては、輸出免税ではなく、非課税扱いだから仕入税額控除の枠外」となります。
米軍基地周辺の方には米軍基地と商売上の取引がある方も少なくないことでしょう。直接取引を行うのか、間に第三者が介在した取引になるのかによっても、特例法の適用が変わってきます。商売の流れが変わったときなどは特に留意が必要です。