退職後支給賞与の源泉徴収税と社会保険料
退職日以後の賞与支払い
賞与は「賞与支給日の在籍者」に対してのみ支払われるものとしている企業は多いかと思われますが、就業規則において賞与の支給対象期間に一定以上在職していた者を支給対象者とすると定める企業も少なくありません。
こういう規定を置いている場合には、賞与支給日に既に退職している場合でも、賞与が支給されることになります。
退職所得には該当しない
退職後の支払いであっても、この場合は、退職に基因して支払われるものには該当しません。支払金額の計算基準等からみて、他の引き続き勤務している者に支払われる賞与等と同性質であるので、退職手当等に該当しません。ここのところは、通達でも確認されています。
源泉徴収の仕方の原則と例外
給与所得者の扶養控除等申告書は、その給与等の支払者のもとを退職したときにその効力を失うものとされています。したがって、退職者に退職後に支給期が到来する賞与や追加払い給与等を支払う場合には、原則として給与所得の源泉徴収税額表の乙欄で源泉徴収をすることになります。
但し、退職日と同年中の支給で、退職者が未だ再就職しておらず、従って扶養控除等申告書の提出がなされていないことが明らかな場合には、退職前に提出した扶養控除申告書がなお効力を有するものとして、甲欄で源泉徴収をしても差し支えない、との取扱いが所得税の基本通達にあります。
乙欄徴収源泉税と再就職先での年末調整
再就職して、次の雇用者に源泉徴収票を提出する場合、甲欄による源泉徴収票は次の就職先での年末調整の対象となる給与とされますが、乙欄の源泉徴収票の給与は年末調整対象給与とはなりません。
社会保険料の控除は?
雇用保険料は債務確定基準で、雇用保険の被保険者であった期間に査定された賞与であれば保険料徴収対象になりますが、健康保険料・厚生年金保険料は、支払日基準で、資格喪失月の前月までに支給されたものに該当しなければ、保険料徴収対象になりません。資格喪失月とは資格喪失日を含む月のことで、資格喪失日とは、退職日そのものではなく退職日の翌日のことです。