法改正に向けて残業の発生メカニズム
残業時間の上限が設定
働き方改革法が4月に施行され、残業時間の上限が設定されました(中小企業は2020年4月予定)。法対応や生産性アップのためにも残業削減は急務ですが、残業に頼った会社運営になってしまっている企業はまだ多いでしょう。
残業が生まれる環境とは
残業はどうして生まれるのでしょうか。そこには次のようなメカニズムがあると言われています。
集中:上司が仕事のできる特定の部下に仕事を振りすぎて、仕事や残業が集中する。
日本型雇用はメンバーシップ型雇用であり仕事の範囲が明確に決まっていません。こういった雇用の形態も特定の人に仕事が集中する一因でしょう。
麻痺:残業することで仕事の達成感や社内評価が上がり残業額は問題ではなくなる。
残業時間が月60時間を超えてくると「ストレスはあるが幸せ」と感じる人が増えてきます。給与UP、キャリアアップ、働きがいを多く得られるためストレスに対して麻痺してきます。しかし、1日11時間超の勤務は心筋梗塞リスクが1.6倍との調査結果がある通り、身体に対してはリスクが増大していきます。そのほか仕事が来ない社員の成長機会を奪ってしまう面もあり、さらに二極化することが懸念されます。
感染:職場全体で帰りづらい雰囲気が生まれることで、ほとんどの社員が残業してしまう。上司や同僚が残業で残っていることで、仕事が終わっても帰りづらい無言のプレッシャーや同調圧力を感じて社内全体の長時間労働を助長してしまいます。日本人は外国人に比べて同調しやすいといわれていますが、最近の研究では大差がないという結果も出ています。そのことからも感染を生み出す環境そのものを直さなければならないでしょう。
遺伝:上司が若いときに経験した長時間労働が当たり前の働き方に固執し、若手社員に強制してしまいがち。モーレツな働き方が体に染みついてしまっているためなかなか抜け出せない事例も多く聞かれます。残業が多いほどパフォーマンスが高いとされてきた、職場風土を見直さなければならないでしょう。残業が一概に悪いわけではなく内容や集中などの見直しが必要でしょう。